先日のクルーズで破いてしまったセイル・・・
このセイルはファーリングメインなのですが、35ktの風に立たせ巻き取ろうとしたら重くて巻けない。普段は手で巻くのですが仕方なくウインチで巻くことに・・・その間時間が掛かりシバーして破れてしまいまいた。
こんな感じです。
降ろして調べてみると、糸も生地もかなり痛んでました。
進水時からのセイルだと思うので正直なところ寿命も近いんでしょう・・・・
が、、、メインセイルは高い。
ということで修理することにしました。
何事も経験と思い、自分でトライしてみることにしましたが、やってみると難題山積でした。
問題点は数多く
- セイルの縫い目を見るとジグザグに縫ってる。何で縫ったんだろう???
- セイルの糸、とんでもなく太いぞ。一体何処で入手を・・・・
- 生地をパッチワークしたいけど、生地って何処で仕入れれば・・・??
とりあえず最大の関門はこの3つ。
色々と調べてみて初めて真相が判ったのですが、まず1のジグザグに縫う方法ですが、家庭用ミシンでもジグザグ縫いは出来るのですが、太い糸と厚い生地に対して機械が負けてかなりの困難を伴うと予想します。一般のアマチュアが入手できるハイパワーミシンは「職業用」という種類のものですが、これは直線縫いしか出来ません。では一体プロはどうやって・・・?と思ったら、やはりそういう専用のミシンが「工業用」として出ているようです。でも現実問題として工業用を家庭に持ち込むのは相当やっかいです。(少なくとも我が家では無理)
あとジグザグで縫う理由はテンションが掛かって伸びても糸には負担が掛からないためらしいです。
ということで、本来ならやっぱりセイルはセイル屋に頼むのが良し!と実感しました。
が、、、普通の直線縫いミシンで縫ったものが何処まで使えるのかも知りたいので、毎度のことながら人柱実験することにしました。笑。
次に2のセイルの糸ですが、これも工業用ミシンでしか縫えないような太い糸です。手縫いするならばマリンショップで補修用の糸を買えば良いので簡単です。が、、ミシンでやろうとすると・・・・職業用でも#20(20番)という糸が一般的にはマックスと言われていますが、セイル補修の手縫い糸から見ると#20なんてめちゃくちゃ細く見えるんですよね。(そうは言っても普通に見ると#20もかなり太いんですけどね)。だが#20だと強度的に無理なんじゃないかって気がして仕方が無い・・・・・。そこで、職業用ミシンに対しては無理なサイズなのを承知で#8糸と#21針を取り寄せて使ってみました。(尚、職業用ミシンは通常#18針が最大サイズなのですが、世の中には便利な針があるもので・・・DB×1針互換でDB-A20という#21針がオルガンから出ていました。)
最後に3の生地ですが、きっとセイル屋さんに頼めば分けてくれるでしょう。が、、、それもなぁ・・・。(修理も頼めよ!とセイル屋さんに暗黙のプレッシャー掛けられるし)
そこで、ヨット船具屋なら大抵置いてる「ダクロンテープ」というのを使ってみました。
一度、セイルを水洗いし潮を抜き、その上にダクロンテープを貼り付けてみました。かなり強力な糊なので、なんかこれだけでも十分いけるかも・・・って雰囲気あります。
が、航行中に剥がれたら恐怖なので、やはり縫製しました。
尚、一番良い方法は「セイル用糸を使ってハンドステッチャーにてジグザグ手縫い」なのは判ってるんですが、ミシンがけで通用するのかを知りたいので・・・あしからず。笑。
さて、一般用ミシンには常識では使わない「#21針+#8糸」というミシン屋が見たら卒倒するような組み合わせでサンブレラの端切れで試し縫いしたところ、思ったよりもいけます!
よし、ではセイルでやってみよう・・・
こーんな感じになりました。何とか縫えます。が、糸調子が超シビアで、2枚重なったところなどは明らかにバランスが崩れ、縫ってる最中に微調整が必要。また糸の締りがやや微妙な感じです。パッと見は縫えているんですが・・・・。あと、針の穴が大きくなるので、古くなったセイルにしてみれば「切り取り線」のミシン目をつけているようなものかもしれません。
そこで、リーチ部分は太い糸で縫ったものの、他のほつれ防止部分は細い糸(といっても#20)に変更。
こちらが糸#20+針#18の組み合わせ。上記と違ってサックサク縫えました。職業用ミシンでは常用はここまでが限度なのかもしれません。
あと、「ダクロンテープ」をミシンで縫ったわけですが、これもセオリーからするとNGなんです。両面テープや接着剤のついた布をミシンで縫うと針がベタベタになり最悪ミシンにも悪影響を与えると言います。でも80センチ程度のダクロンテープ外周を縫う分には大丈夫でした。ただし縫い終わった後、針はベタベタでこれ以上はやはり無理という雰囲気ありましたが・・・。
あとは風の強い日に使ってみてミシン目から裂けてバーストしないかテストしてみますが・・・・この不安感を考えるとやっぱりセイル屋に頼むのが間違いないなぁ・・と改めて思います。ドジャーやビミニやカバーといったものは壊れても笑い話で済むけど、セイルはなぁ・・・・ちょっと怖いですものね。
ということで、裂けて立ち往生しても温かい目でみてやってください・・・自爆。